おいしいお料理とたくさんの感謝の気持ちがこめられたアットホームな結婚式

＜出会い＞

婚礼屋・小谷由美子のブログをいつもお読みいただいていた新婦様。ブログからある日結婚式の相談をしたいとメッセージをいただきご来店いただいたのが2010年の3月頃でした。

時期は秋頃をご希望でしたが、それ以外についてはまったく決まっていないし、わからないということ。ただし「食べることが大好きなので美味しいお料理にこだわりたい」とのことでした。そんな新婦様にご紹介したのが、金沢にオープンしたばかりのフレンチの名店ジャルダン・ポール・ボキューズでした。


お料理の美味しさは言うまでもなく、金沢市の中心部に位置し、交通の便も良く、立地条件から会場の近くに神社やチャペルもあり、挙式スタイルも多様に選択できることがおすすめした最大の理由のひとつです。結婚を決意し、これから二人で長い人生を共に歩んでいく準備を始められるお二人。どのような結婚式をしたいか二人の思いが少しずつ具体的になってきたときに、いろいろな形を選べる方が良いと考えました。通常はレストランとしてどなたでもお食事を楽しんでいただける場所ですから、「一度彼と食事に行ってみたらどぉ？」とおすすめしてみました。

ひとつ問題があるとすれば、せっかく出会えた花嫁様とのご縁がその日限りになってしまうかもしれないと思えたこと。ジャルダン ポール・ボキューズは全国的にも著名なレストランウェディング会場。経験豊富な担当プランナーが常駐されており、他のプロデュース会社等がお二人をサポートさせていただくということはあまり実例がありません。しかし「お料理が美味しい！」会場というご希望を叶えるには最適の場所であり、お任せすれば素晴らしい結婚式ができることも間違いないという思いからおすすめいたしました。


お会いするのが最後かもしれない花嫁様にこれだけはお伝えしたいと思ったこと。「結婚準備は自分らしく楽しんでやっていこうね。」婚礼屋がいつもいつも花嫁様に言いたいことです。一人で悩まずに、困ったときはまた連絡してね、そういう思いからこの言葉をご相談の最後にお伝えしました。

＜会場決定と婚礼屋サポートのお申し込み＞

1ヶ月ほど経って新婦様からメールをいただきました。彼と一緒に食事に行ったこと。とてもおいしくて彼も気に入ってくれ、その場で仮予約をしてきたということ。そして婚礼屋にサポートを依頼したいということでした。婚礼屋としては喜びと同時にとても驚きました。


婚礼屋のサポートにも当然サポート料をいただいております。会場のプランナーさんにお任せすればお二人のイメージどおりのすばらしいご結婚式が実現できることは間違いありません。それでも婚礼屋のサポートが必要ですか？と新婦様からメールをいただいた後、お二人でご来店いただき初めてお会いした新郎様にお尋ねしました。

「彼女のご両親にお会いして、両家の親の結婚への考え方に違いがあるように感じて不安があるんです。しきたりや常識など自分たちでは分からない部分も多く、結婚準備の中で両家が行き違って溝ができてしまわないようにプロの方にお任せして一番良いかたちにしてもらおうと思いました。」というのが新郎様のお答えでした。

会場に合わせた結婚式のプランニングではなく、豊富な経験値の中からあくまでも新郎新婦様とご両家にとって最も良いご婚礼をセッティングする。それが私たち「婚礼屋」のやり方です。そのことを求められていると分かり、大変嬉しく、お二人のサポートをお受けすることになりました。

＜結婚準備＞

お二人で協力し合って一生懸命すすめられたご準備。席札は全員のお名前とそれぞれへのメッセージが手書きで入ったものを手作りされたり、ご列席の皆さんに楽しんでいただきたいとくじ引きを用意されたり・・・。来ていただくのは全員自分たちの大切な人。これまでの感謝の気持ちを精一杯伝えたいと頑張って準備をされました。


挙式は同じレストラン内で人前式で行うことになりました。「ゲストの皆さんに外の挙式会場から移動してもらうのも大変だし、神様に誓うよりお世話になった大切な人たちに結婚を誓うほうが自分たちらしい。」とのこと。ちゃんと、最初にお伝えした自分たちらしいを軸に、誓いの言葉もご用意され、順調に準備は進みました。

ところが、結婚式まであと数日というところで、新郎様から緊急のメールが届きました。「彼女が昨日の夜泣いていたようなのですが何かあったのでしょうか？」との不安な内容でした。気になった私は結婚式の最終確認として、お母様にお会いする事にしました。ご様子を伺ってみると、「結婚式が近づくにつれて、嫁に行ってしまう娘にあれも伝えなければ、これも教えておかなくちゃって、思うことがたくさん出てきて、つい焦ってきつく言ってってしまって・・・。」とのこと。「娘を嫁に出すのに、娘が恥をかかないようにって・・・。本当は取り越し苦労で、お嫁に行った先で幸せになってくれるだけでいいのに。」そう言いながらぽろりと零される涙に、お母様のお言葉に一緒に目頭が熱くなりました。


大事に愛情を注いで育てた娘さんを嫁がせるお母様の想い。それは遥か昔から変わりない想いであるでしょう。「大切な娘さんをお嫁にもらったので大事に迎えてあげたい」「大切な娘だから末永く大事にしてほしい」新郎様新婦様それぞれのご両親の想いが、掛け違わないようにお伝えすることが婚礼屋の役目です。お母様から「お話を聞いていただいて、スッキリした思いで当日を迎えられます。ありがとうございます」と言われた時には、ご両家の大切な一日をより深い思いでサポートさせていただこうと気合いを入れ直しました。この事はお二人にもいまだにお伝えしていませんが。

＜結婚式当日＞

当日はさわやかな秋晴れに恵まれ、二人のあたらしいスタートを祝福するような午後の木漏れ日が降り注ぐ日になりました。ご両親をはじめご列席いただいたたくさんの方に見守られながら、これからの長い人生を夫婦としてともに歩むことを誓ったお二人。皆さんの「おめでとう」の言葉にお二人も最高の笑顔で応えていらっしゃいました。

披露宴はお二人のみなさんへの「ありがとう」の想いを伝える場面が数々・・・。その中でも新婦様から新郎様へのサプライズ映像のプレゼントは新郎様ご本人もびっくり。こっそり新郎様のご家族にインタビューして作ったメッセージDVDをご準備された、照れ屋で自分の想いを素直に口にすることが苦手な花嫁様。新婦様のご両親、ご親戚はもちろん、ご友人まで、すべてのゲストの心に届きました。「素敵なご家族のところに嫁ぐんだね」「大切にしてもらってるんだね」そんな声が会場から聞こえていました。


私がお嫁に行くご家族は、こんなに素敵な方達です。花嫁様の声が届いたDVD。
結婚準備の中でもどうやったら皆さんに喜んでいただけるか、ありがとうの気持ちを伝えられるかをいつも考えていらっしゃいました。そして新婦様の気持ちをいつも思いやり、お仕事が忙しい中一緒にご準備を進めてこられた新郎様。その想いがご列席いただいた皆さんにも伝わったのでしょう。最高のお料理と新郎新婦様の心づくしのおもてなしに「本当に楽しかった！」とおっしゃっていらっしゃいました。

＜結婚式後＞

翌日新婦様からいただいたメールです。
「昨日は素敵な一日を過ごすことが出来ました。
ありがとうございました。

皆様に出逢い、本当に良かった。本当に感謝しております。時間が経つのは早すぎて、昨日は生きてきた中で一番幸せを感じる日でした。
誓い合ったコトを胸に絶対に幸せになります。
言葉では言い表せない程の感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。カーロカーラの皆様に出逢えて幸せでした。これから先、もっと幸せになります。また遊びにいきますね。」

【もっと幸せになります】なんと、嬉しい言葉でしょう。
ご結婚式は新郎新婦様との出会い。これから先の長いお付き合いの始まりと思っております。これからもっともっと幸せになっていくお二人をずっと見守っていきたいと思っています。